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117B11

患者の訴えのうち、抑うつ状態が最も考えられるのはどれか。


a 「すぐにかっとなってしまいます」
b 「何をするのも億劫で仕方ありません」
c 「なんとなく落ち着かない気持ちになります」
d 「昼間にうとうとすることが多くなりました」
e 「外に出ると誰かに見られているような気がします」

解答: b

うつ病の感度97%、特異度67%であることが報告[*]されているWhooleyの2質問法[*]のひとつだ。抑うつ気分(気持ちの沈み・憂うつな気分)または興味・喜びの喪失(どうも物事に対して興味がわかない・心から楽しめない)の両方あるいはいずれかが過去1ヶ月によく存在する場合にスクリーニング陽性となる。本問は後者の症状に関する訴えである。

a. 精神科的には「易怒性」と呼ぶ。易怒性の背景は様々だが、沸き起こる不安に対して条件反射的に反応してしまったり、イライラや感覚過敏から生じることもある。この背景を理解することが精神科医の重要な職務の一つだ。易怒性は双極症の軽躁状態や躁状態などで認める。

c. (マイルドな)「焦燥」と呼ぶ。焦燥は多くの場合制御できない不安から生じており、この不安も「安」らげないことを意味しており落ち着かないことと関連していることが想像できよう。他にも、「被刺激性亢進(または易刺激性)」による些細な刺激に反応しやすい状態や、ADHDのようにノイズ除去が苦手ですべての入力に反応してしまう結果「落ち着かない」状態になっていることも考えられる。精神科医は患者の訴えの背景に潜むこれらの可能性をできる限り広く多く考慮しながら問診や検査で鑑別を絞り込んでいく。

d. 「傾眠」と呼ぶ。傾眠は様々な病態が考えられるが、精神科では薬剤性の過鎮静や症状としての過眠、昼夜逆転などが背景にあることが多い。

e. 「被注察感」あるいは「被注察念慮」と呼ぶ。精神病症状の形成途中でよく生じる。

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