妄想はどれか。
a 「床に小さな虫が沢山見えます」
b 「母親の声で名前を呼ばれるのが聞こえます」
c 「盗聴器を体に埋め込まれて監視されています」
d 「腹の中にあるゴムの球が動き回るのを感じます」
e 「何を食べても砂を嚙んでいるようでおいしくないです」
解答:c
妄想を定義づけるキーワードは
① 内容が全く現実的でなく理解不能(=「了解不能」と専門的には表現する)
② 本人は信じて止まない(=修正が利かない)
蛇足だが、臨床上のポイントは、一旦は「本当に起こり得ることかな?」と想像力を働かせて事実かもしれない可能性を常に検討してみることだ。妄想はそもそも事実にもなり得ない内容であることが幻覚と一線を画している。
a: 幻視(あるいは事実):この話を聞いているあなたからは見えてないなら本人の幻視、あなたも見えているなら事実。
b: 幻聴(あるいは事実):a.と同様、あなたにもそのように聞こえているなら事実、そうでなければ本人の幻聴
c: 正答。体に埋め込める盗聴器なんてありえないし、埋め込まれていたら手術等されているはず。百歩譲って体に盗聴器埋め込んじゃったら、盗聴できなくなるんじゃないか?と、どの方面から考えても了解不能であるため、妄想確定。
d: 体感幻覚:この選択肢で迷った方もいらっしゃるかもしれないが、内蔵感覚の幻覚そのものを指しており、それ自体は妄想ではない。例えば仮に「腹の中にあるゴムの球が動き回るのを感じており、私は何者かに命を狙われているんです」などとおっしゃる場合は(体感幻覚を伴った)妄想となる。このように、妄想はなぜか受動型の表現方法で聴取されることが多く、コンテクスト(=結論にたどり着くまでの経緯)に幻覚が暗躍していることも多い。
e: 味覚低下、あるいは味覚鈍麻などとも称され、うつ病の症状のひとつ。