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118C13

自我障害の訴えでないのはどれか。


a 「自分の考えが他人に操られています」
b 「自分の考えが抜き取られてしまいます」
c 「自分の考えでない考えが勝手に浮かんできます」
d 「自分の考えが電波に乗って世界中に伝わっています」
e 「自分の考えなど取るに足らない価値のないものです」

解答:e

毎年定番の自我障害の問題だ。「自我障害のおはなし」でマスターできるかと思う。自我障害を体験すると、出てくるセリフには受動態が多いことも特徴。つまり、自分ではコントロールできない何かが働いて、「操られて」いたり、異質な考えを自分の頭に「ねじ込まれて」しまったり、自分の考えや情報が「漏らされて共有されて」しまったりするように感じる体験であるということを意味する。
当然ながら、そのような異変が本人の脳内で生じているとは本人にとって気づきようがなく、また「脳内の異変」の解明が医学的にも未到達であることからも、本人にとっては周囲が自分に何かしでかそうとしているのではと解釈せざるをえなくなる状況に置かれていくわけである。

e: うつ病に特徴的な微小妄想を想起させるセリフだ。微小妄想というのは、「自分は取るに足らない」がテーマになっている、①貧困妄想、②罪業妄想、③心気妄想の3つの総称である。選択肢eのセリフにも「取るに足らない」と文字通り入っていて出題者の優しみを感じる。
臨床的には、下記のように微小妄想は、自殺念慮・自殺行動に直結する非常に重大な症状であるため、基本的には入院が治療な重症度だと考える。

3つの微小妄想

1. 貧困妄想:「自分には気力も体力もお金もない」
→何の取り柄もなく、何も残されていない、死ぬしかない

2. 罪業妄想:「自分が生きていることが社会に対して申し訳ない」
→生きているだけで罪なのだから、死ぬしかない

3. 心気妄想:「自分は重大な病気にかかってしまっていてもう治らない」
→生きていけない、死ぬしかない

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