精神科における治療時の写真(mECT:修正型電気けいれん療法)を別に示す。この治療が有効な疾患はどれか。
a. てんかん
b. 強迫性障害
c. 緊張型頭痛
d. うつ病性障害
e. 注意欠陥多動性障害〈ADHD〉
解答:d
特に精神病性うつ病、自殺念慮が切迫して焦燥の強いうつ病に効果が高い。
これらはいずれも重症度が高いうつ病ということに気づくとよいだろう。
mECTは、短時間作用型の麻酔薬と筋弛緩薬を用いるので手間はかかるのだが、安全性という意味ではこれら麻酔処置によるリスク以外はほとんどなく、内服薬による副作用の方がよっぽどリスクは(相対的にであるが)大きい。
ちなみに、mECTの”m”はmodified修正型を意味し、以前は上記麻酔無しで実施されていた過去がある。「けいれん」と付いているように、特に筋弛緩薬が投与されていなかった時代は全身けいれんを抑えるスタッフが四肢にそれぞれ一人ずつ必要だったと筆者も伝聞したことがある。もちろん、実際に見たことはない。この日本語のネーミングが怖さを掻き立ててしまうのか、危なく無謀な治療法のように一部で誤認されてしまっているところが残念である。
a. 上記説明からもわかるように、てんかんはすでにけいれんを生じている、ないしは体動がなくても脳内に異常放電が生じている病態なので、絶対禁忌に近い選択肢だろう。
b. SSRIが第一選択。
c. mECTの軽微な副作用のひとつに一過性の頭痛があり、これと絡めた選択肢と思われるが無関係。
e. 神経発達症(発達障害)は生来の脳の発達に関連する疾患群であり、mECTを含め「治療」という概念はなく、服薬による生活のアシスト、という位置づけになる。特に小児の神経発達症の治療のメインは服薬でもなく療育と呼ばれる発達支援である。