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115F04

成人において、自閉症スペクトラム障害に比べて注意欠陥多動性障害〈ADHD〉で高頻度にみられる症状はどれか。

a. 視線が合わない。

b. 冗談が通じない。

c. ケアレスミスが多い。

d. 的はずれの応答が多い。

e. 左右対象であることにこだわる。

解答:c

c. 不注意型における症状。「不注意」の翻訳元はinattentiveであり、attend「(注意を払って)参加する」でない状態を示している。いわゆる「のび太型」だ。

a. b. d. e. いずれも自閉スペクトラム症(ASD)に該当する。

こうした選択肢の表現はあくまでも観察している側での所見であり、本人側の真の意図とは異なっていることに注意する必要があろう。では、本人側の真の意図とは何かというと、ADHDの場合は、他の刺激に目が移ろいがちで、結果一つのことに集中できておらず、試験の最中というシチュエーションであると「ケアレスミス」としてアウトプットされる、ということである。

また、ASDの選択肢はいずれも共同注意が苦手ということに尽きる。共同注意とは、子どもが一緒にいる母親と同じように物体や人物に対して注意を向けている状態のことであり、子どもの指差し行動は共同注意ができている証拠の一つとなる。子どもがミニカーを指さしている時、母親に「あそこにあるミニカーをみてごらん、お母さん」というメッセージを送っていると同時に、子ども自身の想像の中では、自分が母親に指をさすことによって、母親が自分と同じミニカーを視界に入れる姿を期待値として設定している、という状態である。共同注意が苦手であると、相手が意図しているコンテクストを想像することが苦手なので、返答やジェスチャー、目の付け所、視線までもが相手側の意図や期待と異なっていることがある。すると、相手側は「空気が読めない」「ジョークのつもりだったんだけど通じてない」「的外れ」という印象になっていく。
こだわりの強さは、すなわち不確実性に対する不安の強さを示している。左右対称であることによる安心感や確実感を一旦得てしまうと、左右対称でない事物に対して不確実感や不安を感じ、また左右対称に戻りたい、左右対称のままでいたいという心理が本能的に働くわけである。

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