【NEW】医師国家試験 精神科過去問解説 順次UP中です!→【国試過去問】

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30歳の男性。「3か月くらい前から、仕事の能率が悪いのが気になる」と訴えて産業医面談を希望した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、約半年前から会議もオンラインで行う在宅勤務となった。妻と3歳の男児との3人暮らしだが、自宅周囲の騒音や男児の世話のためにイライラして仕事に集中できないという。約1か月前から寝酒を飲んで眠るようになったが、その頃から朝の起床時に気持ちが沈んでいることが多くなった。毎日疲れが残り、気がつくと取り留めなく考え事をしているという。

産業医の対応として適切でないのはどれか。

a 精神科受診を勧める。

b 寝酒はやめるように指導する。

c 本人の同意を得て上司と面談する。

d 仕事の仕方や内容について詳しく聴く。

e 感染症の流行が終息するまで辛抱するよう励ます。

解答:e. 産業医という医師は、最近でこそクローズアップされるようになったためか、国試公衆衛生分野でも産業保健関連の出題がめっきり増えている感がある。産業医でこのような「メンタルヘルス対応」を必要とする場面も増加の一途をたどっており、産業保健分野は精神科の知識が重宝されるエリアなのだ。

COVID-19と在宅勤務に加え、本問題のように子育てや介護などとの両立も必要な世代のメンタルヘルス損失は、実際に経済損失や生産性低下につながることが問題視されて久しい。職務に就きながらもこうした何らかのメンタルヘルス等の問題で生産性が低下し、経済損失を来している状態をプレゼンティーイズムpresenteeismという。presenteeismの逆は、absenteeismで文字通り欠勤状態にあることを指す。

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