【NEW】医師国家試験 精神科過去問解説 順次UP中です!→【国試過去問】

117A33

18 歳の男子。 3 か月前から周囲の視線が気になると外出するのを嫌がり、この2 週間は自宅にいても誰かに部屋の中を覗かれているし、部屋で話す声を盗聴されていると訴えるため、両親に連れられて精神科を受診した。妄想が強いと判断され、抗精神病薬を処方された。服薬 2 日目から足がむずむずすると部屋の中を歩き回ることが多くなり、夜はむずむず感のため、不眠を訴えるようになった。
このむずむず感について正しいのはどれか。


a ジストニアと呼ばれる。
b 両下肢の知覚低下を伴う。
c 睡眠時無呼吸症候群を伴う。
d 脳波異常を伴う。
e 抗精神病薬の減量により軽快する。

解答: e

国試必出の錐体外路症状(Extra-Pyramidal Symptoms: EPS)
115A23にEPSの4症状を詳しく解説したので参照あれ。


本問は薬剤性アカシジア(DSM-5-TRでは「医薬品誘発性急性アカシジア」)である。アカシジアAkathisiaのAは、「無・非」という意味で、「Kathisia」はギリシャ語由来で座るという意味。つまり、(むずむずして)座っていられない、という意味だ。
抗精神病薬の処方でアカシジアが出たときは、本問のように被疑薬の減量で症状軽快はするのだが、患者さんにとっては生活に困る副作用であり、「もうこの薬は飲みたくない」と忌避感が生じている可能性も高く、原則中止して他の抗精神病薬に切り替えることが望ましい。

a. アカシジアが正解。ジストニアについては115A23を見てほしい。

b. 知覚への影響はどのEPSにおいても生じない。おそらく神経・筋疾患との鑑別を念頭に置いているのだろう。

c. むずむず脚症候群との鑑別。「服薬 2 日目から足がむずむずする」とわざわざ書いてあるのと、18歳という年齢からも考えにくい。

d. てんかんとの鑑別。誤り。

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