18 歳の女子。呼吸困難を主訴に救急外来を受診した。通学途中に満員のバスの中で急に息苦しく、呼吸が促迫になった。パニック障害で自宅近くの診療所に通院しているが、 それ以外の基礎疾患はない。 意識は清明。 体温 36.8 ℃。 脈拍104/分、整。血圧 112/72 mmHg。呼吸数 48/分。SpO2 100 %(room air)。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。四肢にチアノーゼを認めない。患者は「息ができない。手の指先と口の周囲が痺れる」と言っている。
この患者に救急外来で行う対応として正しいのはどれか。
a 抗精神病薬を内服させる。
b そのまま学校に行かせる。
c 低流量酸素を吸入させる。
d 紙袋を口につけて呼吸させる。
e ゆっくり呼吸するように指導する。
解答: e
dと迷った人も多いかと思うが、最近ではdはむしろ禁忌に近くなってきている。
詳細はパニック症のFAQをご覧いただくとよいが、かいつまむと、
- そもそも紙バッグを持ち合わせていない
- 紙バッグが口に張り付いてしまい新たなパニックを生じうる
- 腹式呼吸がエビデンスが蓄積されてきている
などが背景にある。このうち、最後の「腹式呼吸」の方法が解答eである。お腹が上下していることを見届けつつ、吐くときにゆっくり多く吐くと、次の吸気も入りやすくなる。
a. 抗精神病薬を何に対して内服させるのか不明。
b. 「そのまま」の放置プレイ選択肢は国試的には基本NGまたは禁忌。医師免許を有効活用する選択肢ではない。
c. SpO2が100%なので不要。
d. 上述。