【NEW】医師国家試験 精神科過去問解説 順次UP中です!→【国試過去問】

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10 歳の男児。体を後方にそらす運動や無意味な言葉を繰り返し発するようになり、両親に連れられて来院した。 6 歳ごろから顔をゆがめる、首を振るなどの運動を繰り返し、突然声を発したり咳払いをしたりするようになった。 8 歳以降は拍手やジャンプなど、より複雑な運動も繰り返すようになった。汚い言葉を繰り返し発することもあるという。
この児で最も考えられる疾患はどれか。


a 分離不安症
b Tourette 症候群
c 自閉スペクトラム症
d 吃音症〈小児期発症流暢症〉
e 注意欠陥多動障害〈ADHD〉

解答: b

トゥレットTourette症候群(またはトゥレット症)は「チック(症)」という用語と混同されやすいのだが、選択肢にはこれが含まれていないところをみると、国試ではそこまでの知識は要求されていないのかもしれない。

簡潔に整理すると、「チック」症状、「チック症」や「トゥレット症候群」は疾患だ。チックには運動チック音声チックという2つの症状があり、1年未満の持続期間では「暫定transientチック症」という疾患名がつく。1年以上が経過すると、運動チック単体であれば「持続性(慢性)運動チック症」、音声チック単体であれば「音声チック症」、両方とも認める場合は「トゥレット症候群」と呼ぶ。
トゥレット症候群は本問のように運動チックが多彩であることが診断の条件でもある。

なお、国試レベルを超えてはしまうが、トゥレット症候群で臨床的に重要なのは合併症の多さである。トゥレット症候群の60%にADHD60%に強迫症(診断にはならない境界域を含む)を合併する[*]
トゥレット症候群のチック症状はだいたい中学生ぐらい(15歳前後)でワーストのピークを迎え、その後は軽減していくのだが、同時期から今度は強迫症状が台頭してきて新たに苦悩を抱えるというお子さんが多い。

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